中国全国運動会の開催迫る

7月16日から20日に中国・瀋陽に研究指導に出かけていました。中華人民共和国全国運動会(全運会)の開催を間近に控えた瀋陽の様子です。

日本の国体に相当する中国最大のスポーツ祭典である全運会の第1回大会は1959年、北京市で開催されました。1993年の第7回大会以降は、4年に1度の頻度で全運会が開催されています。今年(2013年)、遼寧省の省都・瀋陽市を拠点に遼寧省で第12回の全運会が8月31日から9月12日にかけて開催される予定です。このほど第12回全運会の主競技場となる瀋陽オリンピックセンターの改造工事が完了しました。


改装された瀋陽オリンピックセンター

瀋陽オリンピックセンター道路向かいで進む都市開発
この全運会の開催に合わせて、瀋陽市では都市インフラの整備が急ピッチで進められています。空の玄関口である瀋陽桃仙空港では新しい第3ターミナルの全容が姿を現しました。


完成間近の瀋陽桃仙空港・第3ターミナル
現状からすると、駐車場や内装工事がまだで、8月31日までの完全開業はかなり難しいと思われます。瀋陽桃仙空港から市内までは30kmと離れています。空港まで地下鉄2号線を延伸する予定だったのですが、工事は進んでなく現状では市内までは車を使うしかありません。
今回の全運会のため、空港と瀋陽オリンピックセンターを結ぶ路線電車が整備されていますが、やっと試運転が終わった状態で、これも全運会に間に合うのか疑問です?


開通を間近にした空港近くの路線電車の線路建設現場
空港と市内は高速道路で繋がっていて、市内までの距離は約30kmです。この高速道路は片側4車線と広くてよく整備されていて素晴らしい走り心地。これに加えて、中央分離帯の緑化、花による美化工事がほぼ完了し、訪れた観光客が空港から市内への道すがら、瀋陽に関していい第一印象を持つことは間違いありません。


空港から市内を結ぶ高速道路(有料)


良く整備された高速道路の中央分離帯
渾河を渡り市内に入ると急に車が増え、渋滞になります。


市内の朝の渋滞状況
これまで以上に交通取り締まりの警察官の数が増え、交通マナーの向上を図っています。


主要な交差点での女性警察官による交通整理
中国では、横断歩道でないところでの歩行者が道路を横断し、交通事故の大きな原因となっています。瀋陽では全運会を控え、主要な道路に歩行者が横断できないように道路の中央にバリアーが置かれるようになりました。ベトナムではこのバリアーがコンクリート製ですが、瀋陽では道路景観を壊さない、低いフェンスになっています。フェンスは跨ごうと思えば跨げる高さですが、整然とフェンスが並べられていると交通ルールを無視してこれを超える歩行者は激減するものと思います。歩道にも季節の花が植わったプランターが並べられ、少しでも街を美しく見せようとする努力が見られます。


分離帯、横断禁止を兼ねたフェンス


歩道と車道のあいだに並べられて花の植わったプランター
市内の建設ラッシュは未だに続いていますが、建設のスピードが遅れていて、多くの高層ビル、ショッピングセンターが建設途中で全運会を迎えることになります。


市内で進む高層ビルの建設ラッシュ


全運会を控え、フェンスが取れた市役所前広場
前回も瀋陽市内を流れる新開川沿いの遊歩道を紹介しましたが、これが最近再整備されました。遊歩道沿いの高い樹木で木陰ができ、多くの老人の憩いの場となっています。卓球台が木陰の中に2台設置され老夫婦が卓球を楽しんでいました。


新開川の近況


新開川沿いの遊歩道


新開川沿いの公園内に設けられたコンクリート製の卓球台

街角で設置されている新しいゴミ箱(中央部に垂直に設けされた吸殻入れに注目)
巨大都市瀋陽市の都市開発は目を見張るものがあります。中国では住宅バブルが問題となっていますが、瀋陽市も状況は同じです。これが途中で頓挫すると、その影響は世界に及び、世界経済が大混乱に陥ることは火を見るよりも明らかです。ソフトランデイングを願うばかりです。