中国・青島市で開催されたInternational Anammox Symposium(IANAS) 2025(7月5日―6日)に出席するために、7月4日に関西空港から、山東航空SC4092便で青島膠東空港に向かった。
関西空港は大阪万博の開催前に長く続いていた大改修が終わり、これまで混雑していた手荷物検査や出国手続きがスムーズに行われるようになった。難点は、出国手続きの後、混雑した免税店をいやおうなしに通過しなければならないこと、シャトルに乗るまでの移動距離が長くなったことである。
SC4092便は夏休みということもあり、中国人の観光客で満席状態。青島膠東空港に20分遅れで到着。青島膠東空港は2年前にオープンした新しい空港で、入国手続きが新しい顔認証システムの導入でこれまでになくスムーズに行われるようになった。出口には、教え子の大連理工大学教授の喬森(Qiao Sen)教授と今回のANAS2025を引き受けてくれた山東大学の倪寿清(Ni Shou-Qing)教授の研究室の修士課程の学生Siさんが出迎えてくれた。羽田からIANAS 2025に参加した、農業・食品産業技術総合研究機構の和木美代子さんと関東天然瓦斯開発(株)の横田信幸さんと合流し、大型のワンボックスカーで今回のIANAS 2025 の会場となる青島藍谷国際酒店(Oceantec Valley Hotel Qingdao)に向かった。青島市の旧市街地から離れた郊外に位置するホテルまで、空港から高速道路を使って70分もかかった。このIANAS2025の会場のホテルと2021年に開学した山東大学青島キャンパスは隣り合わせとなっている。
到着後、登録を済ませ、ホテルにチェックイン。このホテルは2年前にオープンした新しいホテルで、夏休み時期とあって、家族連れの観光客で賑わっていた。
IANAS 2025の会場となった青島藍谷国際酒店
部屋からの眺め(中央の高い建物が山東大学青島キャンパスの図書館。左の建物が鉱物宝石博物館)
ホテルのロビーに設けられたIANAS2025の受付
講演会場への案内
IANAS2025のハンドブック
7月4日の夕食は、教え子の北京工業大学の張莉(Zhang Li)教授のアレンジで、ホテル内のレストランで私の教え子が4人(喬森教授、張莉教授、徐暁晨・大連理工大学教授、馬永光・瀋陽工業大学副教授)、友人の北京大学深圳キャンパス研究員の張君、張莉教授の博士課程の学生包君、和木さん、横田さんも加わりミニ同窓会となり、楽しいひと時を過ごすことができた。
前日の古川研究室のミニ同窓会
喬森教授とのツーショット
北京工業大学の張莉教授とのツーショット
瀋陽工業大学の馬副教授(右)と北京大学の張君(左)
IANAS2025の初日は、8時半から開会式。シンポジウムの運営委員会委員長の山東大学の倪寿清教授の司会で開会式が執り行われた。
倪寿清教授の司会で開会式が始まる
開会式の会場の様子
まず、主催団体となった山東大学の王副学長の挨拶があり、大学が国際的に情報発信することに力を入れているとの内容であった。続いて、IANAS2025学術委員会主席の北京工業大学彭永臻教授(中国工程院院士)のビデオによる挨拶があった。次いで、国際学術委員会主席のデルフト工科大学Mark van Loosdrecht教授のオンラインによる挨拶。最後に国際学術委員会主席でIANASの創設者である古川憲治(熊本大学名誉教授)から、これまでのIANASの歩みについての紹介とIANAS2025に関する期待が述べられた。
古川による開会の挨拶
開会式の後、7つの基調講演(Plenary Speech)があった。最初は、私の親しい友人の大連理工大学全燮教授から、アナモックス汚泥に使える機能性担体に関するあった研究報告があった。4番目の基調講演は日本の東北大学李玉友教授によるもので、HAPを核にするアナモックスグラニュールを使った処理に関して話された。最後の基調講演は、北海道大学の岡部聡教授からで、99%まで純化したアナモックス菌の生理特性に関する研究成果を話され、大きな注目を集めた。
7月4日の午後から5日の午後にかけ、トピックス毎に5会場で口頭発表があった。今回、IANAS2025 に合わせてFirst National Congress on Anammox plus Technologyも開催されたこともあり、2日間で158件の口頭発表(内、54件は若手研究者限定のセッション)と39件のポスター発表があった。
これほどの参加者によるアナモックスに特化した国際会議は私も経験したことがなく、中国におけるアナモックス研究の人気ぶり驚かされた。
口頭発表の会場に設けられた展示場で、アナモックス汚泥販売のブースが設けられていた。新瑞集団が、大豆油脂工場排水を1槽型のアナモックスリアクタ2基で NH4-N濃度350mg/Lの排水1200m3/dを処理していて、年間600m3の複合アナモックス汚泥が発生するとのこと。この発生する複合アナモックスグラニュールを希望者に販売する計画で、当面は研究用に1L、350元で販売予定とのこと。大量購入者には割引があるとのことだった。
2本で350元のアナモックスグラニュールの展示
展示ブースで配布されていたアナモックスグラニュールのパンフレット
1日目の発表が終了後、Banquetがホテルの宴会場で開催された。参加者全員が参加する大規模なBanquetになった。
Banquetでの山東大学倪寿清教授の挨拶
Banquet会場の様子
料理は、日本人にも食べやすい野菜、魚介類の多い中華料理でおいしくいただいた。青島なので青島ビールを期待していたが、全くアルコール飲料は供されなく、少々盛り上がりに欠けるBanquetとなった。中国共産党の指導部から出された「倹約と浪費反対に関する条例」への対応でアルコールは禁止とのこと。現状、この倹約令が独り歩きしている状態で、外食産業の落ち込みが懸念されている。
Banquet終了後に遅れて参加してきた教え子の張文杰・桂林理工大学教授と部屋で旧交を温めた。
張文杰・桂林理工大学教授とのツーショット
2日目、横田さん、和木さんの発表があり、活発な質疑応答があった。
和木さんの発表
横田さんの発表
教え子の大連理工大学・徐暁晨教授の発表
2日目の午後、熊本大学の私の研究室の修士課程修了した後、お茶の水大学で学位を取得し、その後ミシガン大学でポストドクを務め、現在、山東大学環境科学工程学院の教授となっている洪静教授と、彼女の旦那さんである李さんの案内で山東大学環境科学工程学院を見学した。
洪静教授の教授室で(右から2番目が洪教授、中央が李さん)
日曜ということもあり学生がまばらであった。キャンパスは広大で、キャンパス内には大学のバスが運行されている。学生のキャンパス内の移動は自転車、バイクとのこと。その後、大学から車で15分ほどの洪さんの自宅を訪問した。中国では少ない戸建て住宅で、中国の大学の先生の生活を垣間見ることができた。
洪先生の3階建ての自宅
IANAS2025の最終日は、倪教授が海岸でのバーベキューに私、岡部先生、釜山国立大学のLi Tahoe教授を招待してくれた。意外に美味しかったのがザリガニを香味野菜と調味料で味付けしたもの。その他、キス、イカ、サンマの串焼き、アサリ等の海産物を楽しんだ。
7月7日(月)は9時にロビーに集合し、倪教授の手配してくれたタクシーで空港に向かい、予定通りSC4093便(13:00発)で帰国した。