瀋陽での都市開発

瀋陽は遼寧省の省都で、市区人口は約500万人、都市圏人口は800万人の中国・東北地方最大の都市です。瀋陽市は副省級市にしてされており、省クラスの自治権を有しています。瀋陽は満州国時代には奉天と名付けられ日本人にとっても馴染みの深い都市です。
瀋陽は工業が盛んで多くの国営の重化学工場が市内に立ち並んでいましたが、都市再開発に伴いその多くが郊外に移転し、昔の面影はありません。瀋陽は急速に近代都市に変貌しつつあり、中でもIT産業、ソフトウエア産業の台頭が著しく、市内の東北大学の近くには日本の日本橋や秋葉原の電気街のようなパソコン関連ショップが軒を連ねた通りがあり、多くの若者で賑わっています。
瀋陽には10年前から年数回の割合で訪れていますが、中国の経済成長に合わせて街が大きく変貌し、訪れるたびいつも驚かされています。街の至るところで低層の古いアパートが取り壊され、高層のアパート、商業ビルが次々と建設されています。最近では、2路線の地下鉄開通、高速道路の整備、昨年末には大連からハルピンまでの新幹線が開通など、交通インフラの整備も急ピッチで進んでいます。今年には、全国体育大会が瀋陽で開催されることから、空港には近代的な新しいターミナルが建設中です。
今年の1月の瀋陽訪問では、久し振りに瀋陽故宮近くの中街に香港資本によって建設され、最近オープンした大規模なショピングモール(中街皇城恒隆広場)を見学してきました。これと同規模の大規模でモダンなショッピングモールがすでに瀋陽の目抜き通りに建設されていますが、今回見学したショッピングモールは建物の中央に大きな吹き抜けの空間を設けるために、屋根を柱で支える構造で、中国にして珍しい建物でした。

中街皇城恒隆広場のエントランス
巨大な中央の吹き抜けの空間を取り囲むように世界の有名ブランド店が軒を並べ、最上階にはステーキハウス、東北料理、ピザレストラン、韓国焼肉レストラン、回転寿司の店が立ち並んでいます。

 

また、水を使っ贅沢なオブジェが沢山あり、ここにも中国の経済力を感じました。

水のオブジェ

瀋陽の大気汚染

1月15日から19日、中国・遼寧省の省都・瀋陽に出かけました。瀋陽は60年ぶりの寒さということで連日、最低気温がマイナス25℃、最高気温がマイナス10℃の日が続きました。これまで何度となく、冬に瀋陽を訪問していますが、このような寒さは初めての経験です。

部屋の中は集中暖房されていて、20-25℃で快適ですが、一度外に出ると身を切る寒さ。降った雪は融けず、歩道の一部では氷となり滑りやすくなっています。車道は、融雪剤を散布しているので凍らないので、信じられないことですが車は殆ど夏用のタイヤで走っています。
中国では冬の暖房は石炭を主とする化石燃料に依存していますが、その燃焼プラントでの排ガス処理が不十分で冬場の大気汚染の主因となっています。これに加えて、公共交通機関が日本のように発達してなく、多くの車が走っています。しかもこの車の排ガス対策が不十分で、大気汚染に拍車をかけています。
これに今年の異常な寒さが加わり、厳しい放射冷却で大気殆ど移動せず、スモッグが地表に滞留し、晴れというのに視界が数百メートルしかないどんよりとした状態となります。(写真ー1 )

写真ー1 ホテルからの眺め(視界数百メートル
新聞報道では、北京市でのAQI値が500を越えたとのことですが、17日の瀋陽もこれと同じような大気汚染でした。
新聞報道では、北京市では58箇所の工場を完全停止した他、41箇所の工場に有害廃棄物の排出量の削減を義務付け、大気汚染のひどい日には市内を通行できる車の数を制限することを発表しています。(日経1月22日朝刊)瀋陽でも同じような対策を発動するそうです。