熊本城の近況

4月の熊本地震以降、初めて熊本に出かけた。
断層のずれが引き起こした、直下型の大地震。熊本市内でも、4月14日夜の震度5弱の前震に続いて4月16日の未明の震度6弱の大きな揺れで、日本三大名城の一つで熊本のシンボル、熊本市民の心のよりどころである熊本城が目を覆いたくなる大きな被害を受けた。
9月14日朝、雨であったが、熊本城の様子を見に出かけた。市民会館の道路向かいに立つ加藤清正像を見、坪井川沿いの遊歩道に出る。いきなり櫨方門・馬具櫓の石垣の崩落が目に入る。 幸い櫓は崩落していない。

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馬具櫓の石垣の崩落状況

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長塀方向から馬具櫓を見渡す

この櫓の右手に日本一長い・長塀が坪井川沿いに見渡せる。長さ243mで国重要文化財である長塀の屋根部分が、今回の地震で城内方向に100mにわたって倒壊した。現在は白いシートで覆われている。

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倒壊した長塀をシートで覆っている状況

天守閣の方向に進むが、入口のはるか手前で通行禁止のバリケード。残念ながらテレビで何度も放映された倒壊寸前の飯田丸五階櫓の様子を近くで見ることはできなかった。飯田丸五階櫓は小さなお城では天守閣にも相当する大規模な櫓。その櫓の土台となる石垣が崩落し、石垣の角「算木積み」の部分だけで櫓を支えている状況。大きな余震があれば、櫓が崩壊する危険性の高いことから、どのような対策をとるか注目していた。アーム上の鉄骨で櫓を抱えこむことで、櫓の倒壊を防ぐ工法が採用された。緑色の仮受構台をクスノキの合間から覗き見ることができた。

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仮受構台で倒壊を防いでいる飯田丸五階櫓

熊本城の修復には現在のところ20年の年月と634億円の費用が掛かるとのこと。これから、熊本城復元整備一口城主を募るとのこと。一日も早い、熊本城の復興を願って止まない。

PUsan Global Water Forum

第4回のBusan Global Water Forum:BWF(2016年8月31日―9月1日)に招待講演を依頼され、釜山に出かけた。釜山市は人口340万の韓国第二の港湾都市、特に夏場には韓国で最も有名なビーチ「海雲台(ヘウンデ)海水浴場」を訪れる多くの観光客で賑わう。
8月30日に関空から釜山に飛び、地下鉄の海雲台駅近くのCitadines Haeunde Busanにチェックイン。このホテルはワンルームマンションとして開発されたものを、2年前に観光客用にホテルに改装したもので、部屋にはキッチン、冷蔵庫、洗濯機が完備していて、家族向けには今後人気が出そうであった。まだまだ暑くて、海水浴に来た米軍関係の客で賑わっていた。

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ホテルの部屋から海雲台ビーチを望む

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海雲台の山沿いに開発されたマンション群

30日には、BWFの組織委員会から、釜山マリーナから大型ヨットに乗っての夕食会に招待された。船上から2003年に開通したライトアップされた広安大橋、マリーナ近くの高層ビルを眺めながらのクルージングだった。広安大橋は市内と海雲台を結ぶ、全長7,420m、900mが2階建ての吊橋で、夜にはライトアップされて観光名所となっている。

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日没前の広安大橋

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ライトアップされた広安大橋

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釜山マリーナ横に林立する高層ビル群

BWFは釜山市のコンベンションセンター(BEXCO)で開催された。BEXCOは2001年9月にオープンし、そのオープニングイベントとして国際モーターショーが開催された。このBEXCOを訪れるのは3回目であるが、最初に訪れたと時には、釜山でこのように大きなコンベンションセンターがうまく運営できる心配であった。しかし 、釜山市の努力もあり世界的な規模の様々なイベントの誘致に成功し、現在では施設の更なる拡充を考えているとのこと。日本の多くの都市がコンベンションホールを建設し、町おこしの起爆剤としての役割を期待しているが、それほどうまく機能していないのが現状。是非、釜山のBEXCOを見習って欲しいものである。

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BEXCOの外観
2012年のIWAの世界大会(World Water Congress)がBEXCOで開催されたことをきっかけに、シンガポールで開催されるWater Weekを模範に釜山市の主催でBWFが毎年開催されるようになった。今回のフォーラムはWater & Future City Institute(WCI)とIWAが共催で、“Water-Energy Nexus for Sustainable Water Solution”をテーマに、20カ国から700人の参加者があり盛大に開催された。

BWFの開会式では、大阪大学時代の教え子で釜山国立大学の李教授のウエルカムスピーチもあった。

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開会式で挨拶する李教授(釜山国立大学)

開会式の後、IWAのHelmut Kroiss教授、ペンシルベニア州立大学のBruce E. Logan教授のKeynote Speechでフォーラムが始まった。このKeynote Speechの後、併設されているBEXCO一階の展示場で開催されている“Environment & Energy Tech 2016”を参加者全員で見学した。会場で最も目を引いたのは、燃料電池車で現代自動車から乗用車以外にバスの展示もあった。

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展示されていた燃料電池バス
31日の午後から以下の4つのセッションが2日間にわたって開催された。
Session 1 Water-Food-Energy Nexus
Session 2 Asian Perspective in Water-Energy Nexus
Session 3 Water-Energy Nexus for Future Water Systems
Session 4 Commercial Technology for Water-Energy Nexus
今回、低コストで省エネの窒素除去技術である嫌気性アンモニア酸化(アナモックス)に関する話をして欲しいとの要請を受け、2日目の午前中にSession 3で以下の招待講演をした。
“High Applicability of Anammox Technology for Energy-saving Ammonium Removal Process”
31日のBEXCOの地下のレストランで開催された夕食会の後、李教授に誘われて最近若者に人気の“The Bay 101”で開催された二次会に参加した。この場所は、釜山マリーナの横の半島状に突き出た高層ビル街の裏側の海岸沿いに開発された場所で、まるでシンガポールのマリーナベイ沿いのレストランに居るような気分になる。

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The Bay 101の野外レストラン

久しぶりの釜山であったが、多くの知り合いの先生方と旧交を改めることができ有意義な4日間であった。