吉林再訪

3年ぶりに吉林省吉林市を訪れました。

2012年12月1日に大連からハルピンまでの901kmを結ぶ「哈大高速鉄道」(通称哈大高鉄)が完成し、これまで在来線で9-13時間要していた大連~ハルピン間を最短で3時間で結ぶことになり、中国・東北3省の省都が日帰り圏になりました。この新幹線は、最高速度が350kmですが、冬場は安全のため200kmでの走行となります。(料金は、冬場の方が安い)
長春と吉林の間にも高速鉄道が整備され、大連から瀋陽経由で吉林行きの新幹線も運行されています。今回は瀋陽駅から、長春経由の吉林行きの高速鉄道を使いました。昨年、瀋陽から大連まで高速鉄道を初めて使っていますので、今回が2回目の高速鉄道の利用です。

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改装が終わった瀋陽駅

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瀋陽から長春の車窓から見た発電所(左の丘には風車群が)

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長春駅から長春市街を望む

吉林市は吉林省では省都・長春に次ぐ第二の人口195万人都市。吉林市を「長白山」を水源とする松花江が「S」状に吉林市を貫いています。吉林市の郊外には吉林省で最大の湖である松花湖(湖面面積は550km2、最大貯水量は108億m3)があります。この松花湖は、「豊満水力発電所」(満州国によって建設が始められたもので、1960年に51万KWの発電を開始、1998年には125万KWの発電能力にまで拡大。李鵬前首相が技師長を務めていた)によって松花江の水を堰き止めてできた人工湖。冬場にこの松花湖の中層から水温の高い水が放流されることから、冬場マイナス30℃にも冷え込む吉林市でも、松花江は凍ることはありません。早朝に気温がマイナス20-30℃に達すると、松花江から水蒸気がゆっくりと立ち上り、それが川沿いの松や、柳の樹上で結晶して霧氷になる。吉林市では1-2月にかけてこの樹氷が有名ですが、今回は3月ということもあり樹氷を見ることはできませんでした。

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松花江沿いの霧氷

今年の吉林は例年になく寒さが厳しくなく、吉林駅に到着した3月20日こそ、粉雪が舞っていましたが、21日から23日は最低気温が2-3℃、最高気温が10℃以上と暖かい冬とのこと。PM2.5の汚染もなく、青空が広がり、22日の土曜日は街の広場、公園で暖かい日差しの中、子供を遊ばしたり、デートしたり、ダンスを楽しんだり、様々なスタイルで休日を楽しんでいました。

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センチュリー広場に集まった家族連れ

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松花江左岸に建設された高層マンション群
松花江の川沿いは、高層マンションが林立し、夜になるとそれらのマンションがライトアップされ、街を彩ります。(高層マンションのライトアップは、吉林市が住民の同意を得て行っている)

 

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夜間ライトアップされた松花江沿いのマンション群

松花江南岸に隣接するセンチュリースクエアに中国で唯一の隕石博物館、吉林隕石博物館を友人と共に訪れました。
1976年3月8日吉林市北郊外に世界の歴史上にもめったにないほどの隕石が落下した。その中で最大の隕石は重さが1770kgで、博物館の中央に展示されています。

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重さが1770kgの巨大隕石
吉林市は、吉林市は中国の化学工業の揺り籠といわれ、松花江の右岸に巨大な化学工業団が広がっています。この化学工業企業への人材供給を目的として、吉林化工学院が創設されまた。この学院の卒業生が私の研究室で博士の学位を取得し、現在吉林化工学院の環境学院の副教授を務めている関係で、熊本大学と吉林化工学院とは交流協定を締結しています。今回も、高院長、孫副院長、趙国際交流処処長、環境学院の先生方と交流する機会を持つことができました。

PM2.5汚染

2月23日-25日、中国・北京に滞在していました。
23日に関西空港を飛び立つ際に、大連行きの便が、天候状況で降りられないときは瀋陽に向かいますとのアナウンス。北京のPM2.5が大連に飛来してきたのではと想像し、それならば、北京行きの便は予定通りに飛ぶし、北京の大気汚染はそれ程でもと期待して搭乗。

「北京空港に間もなく到着します」とのアナウンス。しかし、窓の外を見ると、まだ雲の中。まだまだ時間がかかるなと思っていた瞬間、ドーンとランディング。PM2.5で視界不良の中での着陸でした。よくこの視界不良の中で着陸できたと思うほどのスモッグ。
これまで、上海には冬に何度か訪問し、スモッグで全く太陽を見ることが出来ない状態でした。冬の北京は久しぶりの訪問です。報道では、北京のPM2.5汚染は上海の大気汚染と比肩するとのこと。冬は風が強くなる北京では、スモッグが飛ばされガスらないのが私の認識でした。風がない上に、北京の人口は増加の一途(2,000万人を超える)。冬には暖房用の石炭の燃焼と、増え続ける車の排ガス、これに風がない日が続くとPM2.5汚染が深刻な状態となります。北京に住む教え子の話では、ここ数日のPM2.5濃度は400μg/m3を超えているとのこと。日本のPM2.5濃度に関する暫定基準は、一日平均濃度が70μg/m3。(WHOの基準は20μg/m3)
今回の宿泊は、北京オリンピックのメイン会場である通称「鳥の巣」のすぐ隣に位置する北京グランドスカイライトキャティックホテル(北京凱迪克格蘭曇天大酒店)。部屋から鳥の巣がクッキリかと楽しみにしていたのですが・・・ガスっています。鳥の巣の奥のオリンピック記念タワーは霞んで半分位しか見えません。これらの施設は夜にライトアップされるのですが、それもこのスモッグで台無しでした。

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ホテルの部屋からスモッグにかすむ北京オリンピックスタジアム(左)とオリンピックタワー

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午後3時、ホテルの部屋から見た鳥の巣
中国にはこれまで何回となく足を運んでいる私ですが、PM2.5が400μg/m3を超えるような状況では、さすがにマスク無くして外を歩く勇気はありませんでした。25日、帰国前の時間を使って鳥の巣の見学に出かけました。(入場料50元)スモッグの影響で観光客はほとんどいません。スタジアムの内部には雪を使ったアトラクションが催されているようでしたがこれも開店休業状態。

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鳥の巣の全景(前の池は下水処理水の再生水)

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鳥の巣の内部(トラックの雪は運び込んだ?)

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背景のIBMタワーもスモッグで霞む
25日の帰国もスモッグでフライトがキャンセルになるのではないかと心配したのですが、予定通りに帰国できました。(ちなみに北京から大連行きは軒並みキャンセルでした)

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北京空港に向かう高速道路の様子
26日は大阪でも中国から流れ込んできたスモッグの影響でPM2.5濃度が最高で90μg/m3を超え、不要な外出を控えるようにとの注意報が出されました。(この日我が国で9府県で初めてのPM2.5注意報が出ました)27日には北京ではスモッグが解消され、青空が戻ったとのこと。27日-28日に熊本に出張していましたが、28日の朝は、中国からのスモッグが熊本に到着し、大阪と同じく晴れなのに熊本の空が霞んでいました。
日本では、PM2.5の影響が継続すると、酸性雨としてもその影響が現れるのではないかと心配されています。
韓国でも、中国からの越境してくるスモッグでPM2.5濃度が高く北京と同じような影響。これに加え、インフルエンザが蔓延しているとの報道されています。
このようにPM2.5問題は、中国本土のみならず、国境を越えて韓国、日本にも大きな影響を及ぼします。歴史認識で、日中韓の関係がギクシャクしていますが、こと環境問題には国境はありません。スモッグ問題を克服してきた日本の技術を中国に移転し、一刻も早くPM2.5問題が収束することを願わずにはいられません。

美ら海水族館

沖縄本島北西部の本部半島備瀬崎近くにある「海洋博公園」内の世界最大級の水槽を持つ「沖縄美ら海水族館」に2月17日に行ってきました。

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大水槽では、ジンベイザメが3匹悠然と泳いでいました。これに加え多くのマンタエイも泳いでいます。大阪では海遊館でのジンベイザメが有名で、一時期2匹のジンベイザメが飼育されていましたが、現在は小型のジンベイザメが1匹のみ。美ら海水族館の3匹のジンベイザメの展示には驚かされました。

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世界最大水族館観賞用窓と世界最大のアクリルパネルはギネスの世界記録に認定

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世界最大水族館観賞用窓で

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二匹のジンベイザメが悠然と通り過ぎる
沖縄では、プロ野球のキャンプが真っ盛りで、多くの熱心なプロ野球ファンが沖縄を訪れ、その多くがこの美ら海水族館を訪れます。美ら海水族館の駐車場はずらりとナンバープレートが「わ」のレンタカー。訪れたのは閉館間近の遅い時間だったのですが、それでも多くの観光客で賑わっていました。日本人ばかりでなく、最近は韓国、台湾、中国からの観光客が特に3月は多いそうで、暖かい沖縄での観光、ゴルフを楽しんでいました。

沖縄は現在、年間250万人もの観光客が訪れるそうで、観光が沖縄では主要な産業となっています。我々が沖縄に到着した2月17日に那覇空港の新しい国際線ターミナルビルがオープンしました。今後このターミナルビルを活用し、積極的により多くの観光客を海外から呼びたいとのことです。
海が綺麗で、観光開発の進んでいない沖縄本島北西部では多くのリゾートホテルが建設され、多くの観光客を呼び込んでいます。現在、名護市辺野古沖合に米軍基地が移転される計画が進んでいますが、凄まじいジェット戦闘機の騒音を耳にするたび、沖縄の人の基地の県外移転を望む声が心に響きます。基地のいらない平和な世界の実現を祈るばかりです。

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米軍基地の移転が予定される名護市辺野古沖合