名古屋市露橋水処理センターを見学

名古屋市露橋水処理センター(旧名称は露橋下水処理場)を見学してきた。

この下水処理場は、名古屋駅周辺の下水を処理する古い処理場で、直径50mの円形沈殿池が採用されたこと、日本で最初に活性汚泥法を採用したことで知られていた。施設の老朽化が進んだことから現地で全面改築され、平成29年から供用が再開されている。この古い処理場を同じ場所で全面改築できたのは、工事中に排水を近くの処理場で受け入れて処理できたことによる。全面改築された処理施設はA2O法による高度処理法が採用され、地下に建設された。上部空間は「広見憩いの杜」として整備され、高度処理水の一部は「ささしまライブ24地区」の地域冷暖房の熱源として活用されている。

露橋水処理センターの街づくりへの取り組みが高く評価され、第12回(平成元年度)国土交通大臣賞・「循環のみち下水道賞」グランプリを受賞している。

高度処理法の採用による処理容積増に対応するため、反応槽を20mの深さに深槽化したり、二層式沈殿池が採用する等の工夫がなされた。

地下に建設された処理施設の内部(見学ルートが緑で示されている)

無酸素槽の様子(MLSSは約3,000mg/L)

二層式の沈殿池

最終沈殿池(透視度は1m以上)

地下の処理施設は誰もが安全に見学が可能なように見学ルートは緑のペイントで表示され、段差部分には車いすでも通れるように工夫がされている。内部は陰圧で脱臭装置が設けられているために、下水特有の臭いはない。

最終沈殿池からの流出水は急速砂ろ過される

最終沈殿池からの流出水は急速砂ろ過され、塩素消毒された後、ポンプで一部中川運河に放流される。処理水の一部(3万トン/日)は地域冷暖房の熱源として近くの「ささしまライブ24地区」(愛知大学、中京テレビ等のビルが立地する)に供給された後、一部(5,000トン/日)は修景用水として活用されている。

放流用のポンプ

処理場の上部は芝生広場として整備され、市民の憩いの場(広見憩いの杜と名付けされている)として市民に開放されている。処理場の周辺は桜と水のプロムナードして整備された。現在プロムナードは処理場周辺のみであるが、周回できるように延長を考えているとのこと。様々な種類の桜(河津桜も含む)植えられ、長く桜を楽しめるよう工夫されている。

処理場上部の芝生広場(円形沈殿池のあった場所が示されている)

処理場を囲むプロムナード(将来は周回できるように整備する計画)左の建物は沈砂池・ポンプ棟

高度処理水は左上にみえる「ささしまライブ24地区」に送られ地域冷暖房の熱源に。プロムナード脇には多種類の桜が植えられている

熱源に利用された後の一部は修景用水に活用される

芝生広場から見上げる管理棟は、ガラス張りで一見レストランと見間違えるほど。
改修時、地元住民の反対も出たが、完成後は地元住民から好評を得ているとのこと。

芝生広場から管理棟を望む