内モンゴル自治区での植林(2018年6月)

2018年6月8日(金)に中国・内モンゴル自治区カンジカに植林に出かけた。カンジカでの植林は、鹿児島大学名誉教授の野崎勉先生が主宰して始めた活動で、10年以上の歴史があり、その成果は国内外で高く評価されている。今回これまで行ってきたモンゴル松の植林に加えて、野崎先生が考案した「粘土板による草原回復事業」に初めて取り組んだ。
東北大学の教職員と遼寧省石油化工設計院の技術者2人を含め11人でこれに参加した。
カンジカ郊外の植林現場には、野崎先生の指導のもと、地元の農民が作成した20x80cmの粘土板(牛糞と稲わら、それに粘土を混合し乾燥させたもの)が写真のように2000枚が、すでに半砂漠の上に敷き詰められていた。

半砂漠地帯に敷き詰められた粘土板。手前は昨年秋に植林したモンゴル松

8枚が一組の粘土板

まず、この粘土板のへりに沿って、乾燥に強い市販の草の種を蒔く作業を行い、その後、粘土板に水を与える作業を行った。

中央は植林のサポート役のジリモトさん。左は野崎先生

粘土板の隙間に草の種を蒔く参加者

蒔かれた草の種子(写真をクリックしてください)

粘土板に水を散布する農家の娘さん

この工法は、粘土板が数年で自然の土に戻ること、粘土板によって水分の蒸散を抑えて緑化に好ましい状況を創出することに特徴がある。当日は、粘土板の作成を依頼した地元の農民家族もこの作業に参加した。当初から、この種の植林活動は地元の農民や住民を巻き込まなければ、長続きしない。嬉々として我々と一緒に作業している農民の姿に感動した。

粘土板作業を終えて一緒に記念撮影
この後、粘土板を設置したすぐ隣の昨年末に植林したモンゴル松に水を与える作業をした。昨年のこの植林は、使ったモンゴル松が丈の高い元気な松であったこともあり、ほぼすべての松が活着していた。

昨年の秋に植林したモンゴル松に水を与える
この現場での作業を終えた後、これまで10年間にわたって植林した場所の視察に出かけた。

5年経過するとこのように半砂漠がモンゴル松で緑化できる

小高い丘に植林したモンゴル松は成長が悪い。枯死する割合も高い。

今回一緒した、東北大学のスタッフと。左から2人目が朱教授
写真のように、モンゴル松による植林が成功し、砂漠に緑が戻ってきているのがわかる。モンゴル松の成長には、地下水位が大きく関係し、谷合いに植林したモンゴル松が元気で背丈も大きいのに比べ、少し丘の上のモンゴル松は、活着率が低く、成長も遅い。地下水位の低い場所では、根を深く伸ばすポプラとの組み合わせも必要となる。ポプラの植林地域で、ポプラが成長すると水分を多量に吸い上げてしまい地下水位が大幅に低下して、農業活動に影響が出るとのことで、選定する樹木は簡単ではない。

野崎先生は、定期的にこの粘土板工法の効果を検証しながら、さらに大規模にこの事業を展開していきたいとの夢をお持ちで、我々も少しでも先生のお役に立てればと願っている。

この事業の成果は野崎先生が調達したドローンで検証する計画

内モンゴル自治区、カンジカ近くで見かけたガソリンスタンド。この看板を撮った理由分かりますか?

中国石油のパッチもの??