厳寒の瀋陽

1月23日―27日に、中国・遼寧省の省都・瀋陽に出張した。関空を13:10に出て午後3時過ぎに瀋陽空港に到着(日本との時差1時間)。外の温度はマイナス15℃。空港から市内に向かうには渾川を渡らなければならないが、道路から見える渾川は全面結氷。

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全面結氷した渾川

22日から急に冷え込んできたとのこと。車の中、ホテルの中は暖房が良く効いていて快適。夕食に外のレストランを利用すると、車を降りてからレストランまでは歩かなければならない。これまでに経験したことのない肌を刺す寒さが襲い、震えあがる。外の外気に触れると白酒の酔いも一気に吹っ飛んでしまう。翌24日の朝の最低気温はなんとマイナス27℃。この寒さ、瀋陽でも20年ぶりの寒さ。北のハルピンでは最低気温マイナス35℃とテレビは報じている。内陸部の瀋陽では、雪は少なく、ただしんしんと冷え込むのみ。驚くことに車のタイヤは年中一緒のノーマルタイヤを使っている。

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日の出直後の渾川沿いのマンション群(東北大学国際ホテルの窓から)

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大学研究室のシャッターには部屋の中の水分が凍っている

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自転車での移動は少ない(映っている赤いバイクはレンタサイクルのMobike)

今年の冬は、大気汚染対策から政府の指導で暖房に石炭を使うのを禁止していることもあり、瀋陽滞在中珍しく青空が続いた。市内の中心地に位置する東北大学では、これまでキャンパス内に自前の石炭ボイラーを設置し建物の暖房を行っていたが、昨年から熱源会社から温水の供給を受けているようになっている。

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中央には大学の熱源プラントの煙突(使われていない)

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市内の熱源プラント

瀋陽市内には大規模な熱源会社が十数か所ある。これらの熱源プラントで、石炭から天然ガスへの切り替え、適切な排ガス処理が行われていることが大気環境改善に大いに貢献していると思われる。
今回の出張期間中、鞍山市から南に下がった海城市の畜産企業を訪問した。瀋陽から高速道路G15(瀋海高速)を使って2時間で現場に到着。道中、高速道路沿いには収穫を終えたトウモロコシ畑が延々と続く。その畑にはたくさんのトウモロコシロールが転がっている。

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高速道路沿いに広がるトウモロコシ畑とトウモロコシロール

中国では収穫を終えたトウモロコシは農家の燃料として使われていたが、現在はこれが禁止され、飼料へ転用されている。訪問した養豚企業は、年間1万2千頭の豚を生産する、従業員30人の養豚企業としては大きな規模である。今回、アナモックスを使った排水処理施設の導入を図るとのことで見学に出かけた。畜産排水の固形分はたい肥に、液体部分を嫌気発酵処理し、活性汚泥処理した後、一槽型にアナモックス処理で処理する計画。今年の春にはプラントが稼働するとのことで、環境配慮型の養豚業が中国で増えることを期待したい。
瀋陽には、北朝鮮の女性が働くレストランが数多くあったが、国連制裁決議で多くの女性が帰国し、レストランは閉店に追いやられたと報道されていた。しかし、3日目の夕食に利用したレストランには、まだ多くの北朝鮮の女性が働いていた。聞くと、このレストランの経営者は中国人とのことで、ビザのある間は働けるようである。

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北朝鮮美女大学生による民族舞踊
鞍山近くの甘泉のPAで休憩したが、そのPAにはすでにEVの充電器が5台準備されていて、その手際よさに驚く。ただし、充電している車はなかった。

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甘泉のSA(冬で利用者は少ない)

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甘泉SAのガソリン、LPスタンド

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EVスタンド(停車中の車はEVではない)

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EV充電器

EVの普及には充電器の普及が急がれるが、中国は日本よりも一歩先を行っている。