薬師寺東塔の大修理が完了

平成21年より、薬師寺東塔(国宝)の解体修理が始まり、今年(令和2年)春に完了した。大修理の完了を祝して落慶法要が4月22日―26日に開催される予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため残念ながら延期となってしまった。3年前にドイツの友人、ザールラント大学のElmar Heinzle教授を薬師寺に案内した時は東塔は解体修理の真っただ中で、見ることができなった。新型コロナウイルスが少し落ち着いたことから、11月12日大修理の終わった東塔を見学に出かけた。

天候に恵まれ、ゆっくりと世界遺産の薬師寺を見学した。

まず、南門を抜け「白鵬伽藍」に。中門を入ると、正面に金堂、右手に大修理を終えた東塔、左手に西塔が望める。

解体修理の終わった東塔

東塔は現在建物周りの工事が進行中で柵で仕切られていて、近づくことができない。

西塔

金堂

金堂(国宝)には、薬師三尊(中央に薬師如来、右手に日光菩薩、左手に月光菩薩、いずれも国宝)が参拝者をやさしく迎えてくれる。
金堂を抜けると伽藍最大の建造物である大講堂。大講堂には弥勒三尊像、後堂には仏足石・仏跡歌碑(国宝)が安置されている。

大講堂
東僧坊を抜け興楽門を出て北に向かい、「玄奘三蔵院伽藍」に。

玄奘三蔵院伽藍、右手の建物は本坊寺務所(写経道場に通じている)

受付を抜けると玄奘塔が伽藍の中央に。

玄奘塔

玄奘塔には法相宗の始祖・玄奘三蔵の座像が安置されている。伽藍の北側に位置する大唐西域壁画殿には、平山郁夫画伯が玄奘三蔵の旅した地を17年間かけて訪れて描いた壁画「大唐西域壁画」(7場面13枚、全長49m)が展示されている。
再び、興楽門を抜けて「白鵬伽藍」に戻り、「白鵬伽藍」の東南の角に位置する東院堂(国宝)を訪れた。

東院堂

東院堂には、聖観世音菩薩像(国宝)を守護する形で四天王像。東院堂を背に中門に向かうと、回廊越しに青空に映える東塔、西塔が望めた。

回廊越しに見る東塔


東塔の頂部を飾る水煙(金銅造)

回廊越しに西塔を望む

境内には修学旅行の団体や法話を聞きに来た高校生の団体を見かけたが、当然のようにこれまでの賑わいがないのが気にかかる。一日も早い、COVID-19感染の終焉を願うばかりである。

無観客

今年の花見は、新型コロナウイルスの蔓延でどこもほぼ“無観客”といえる寂しい状況。
記録的な暖冬の影響で今年のソメイヨシノの開花が例年になく早いと予想されていたが、大阪では3月半ばに温度が低かったこともあり、大阪での桜の開花宣言は例年並みの3月23日。その後、最低気温が10℃前後の日が続いたこともあり満開になったのは4月に入ってからで、今年は桜を長く楽しむことができている。

4月4日(土)天気に誘われ自宅から歩いて30分の大阪城にウオーキング。外出自粛が求められていた週末ということで、人出は極端に少ない。入場料が必要な大阪城西の丸庭園は、例年なら大勢の花見客で賑わうのに、閑散としていていた。

大手門をくぐった正面の大手見付石(広さ29畳)の横に咲く桜

西の丸庭園から大阪城を望む

広大な西の丸庭園の芝生に人影はない

大阪城ホールと桜、右側は第二寝屋川

大川沿いの藤田邸跡公園の桜

人影のない大川沿いの桜並木(天満橋近く)

大川に向かって桜が枝垂れている

大川沿いの河川敷公園には約4800本もの桜が咲き誇る桜の名所。例年ならば、大川を屋形船や水上ボートが行き交い、遊歩道沿いには沢山の屋台が出、夜にはライトアップされ多くの花見客で賑わうのに、今年は見る影もない。

大川沿いの両岸に桜並木が続く)(後方の高いビルはOAPのオフィスビル)

大川にかかる川崎橋からの眺め

大阪では、ソメイヨシノが終わった1週間から10日後に、“造幣局の桜の通り抜け”が開かれる。今年は早々と中止が決まった。造幣局の中に入って遅咲きの珍しい八重桜を楽しむのが大阪の春の風物詩であったのに、これも無観客となってしまった。大川ウオーキングの途中で、散り初めとなったソメイヨシノを大川沿いに見ながら、造幣局の柵の中のひっそりと花を咲かせる八重桜を楽しんでいる。

造幣局と通り抜けにはここから始まる(4月14日)

大川の遊歩道から柵越しに(4月15日)

造幣局の正門近くの八重桜(4月15日)

夏にはこの大川で天神祭りの船渡御や花火大会が行われるが、新型コロナウイルスの影響で中止するとの発表が4月13日にあった。
早く新型コロナウイルスの蔓延が治まり、日常の生活が戻ることを祈るばかりである。

古川植物園

異常な暖冬が続く関西地方。この影響を受けて、我が家のリビングルームは冬のこの時期に花盛り。

2020年2月3日の開花状況

友人の野崎勉(鹿児島大学名誉教授)先生に、4年前に珍しいベコニアや多肉植物を沢山送って頂いたことから、花が開花すると花卉植物の写真を送って報告している。今年も1月に先生に開花した花の写真を送ったところ、我が家のリビングを「古川植物園」と名付けていただいた。リビングは東南の角に位置し、日当たり抜群でペアガラスであることから保温性が良く、冬の日差しで温室状態に。冬は朝の低温を避けるために、普段はベランダで栽培している花卉植物をリビングルームに入れていることから、これらの植物の開花時期が屋外よりも随分と早い。しかし、今年はこれまでにない暖冬。気温に敏感な花卉植物がもう満開を迎えている。そのいくつかを紹介する。

野崎先生から分けて頂いた木立性ベコニア

下部分けして増えたオレンジ色のカランコエ

昨年買い集めたカランコエが花をつける

昨年夏から花を咲かせ続けているハイビスカス

頂いた珍しい背の高いポンセチアが2か月後も元気

誕生日祝いに頂いたシクラメンの二番花

野崎先生から分けて頂いた珍しいベコニアが花をつける(昨年よりも1か月以上開花が早い)

酷暑の夏を乗り越え大きな大輪の花をつけたゼラニューム

夏から2月にも花が途切れないペチュニア

2月2日(日)大阪城公園に散歩に出かけたところ、大阪城の梅林の花が咲き始めていた。梅干しに使うことで有名な「南高」は満開。

早咲きの寒紅

開花直後の楊貴妃

満開の南高梅と大阪城

この調子で季節が進むと、今年の桜の開花は3月中旬か?

異常気象の収まることを祈るばかりである。

大阪城公園の紅葉

大阪城公園で紅葉が見ごろを迎えた11月24日の日曜日、散歩を兼ねて出かけた。銀橋を渡り、大川左岸の桜並木の紅葉を楽しんだ後、京橋を渡って大阪城の外堀に。

銀橋と大川沿いの桜の紅葉

大川沿いの桜並木の紅葉。奥には大阪城が見える。

外堀を大手前から大阪府庁前方面に紅葉したイチョウを見ながら進む。

追手門小学校前のイチョウ

大手前高校前のイチョウ

改修の終わった大阪府庁前の紅葉

大手門から大阪城内に入ると多くの外国人観光客で賑わっている。西の丸公園での紅葉を中心に見て回った。

広大な芝生公園と大阪迎賓館

大阪迎賓館の正面。当日は結婚式の披露宴が行われていた。

迎賓館前の立派な公衆トイレ

迎賓館横の桜の紅葉

西の丸公園から大阪城天守閣を望む

西の丸公園は、豊臣秀吉の正室・北政所の屋敷があった場所で、昭和40年に芝生公園として開園された。約600本のサクラが植えられていて、大阪では花見の名所として有名。広大な芝生の広場、壮大な大阪城天守閣と紅葉のコントラストがいい。

今年6月のG-20サミットでは、西の丸公園内の迎賓館で各国の首脳を迎え文化行事と夕食会が開かれたことで注目を集めた。

西の丸公園では夜間に、「大阪城イルミナージュ」が開催されている。

天守閣からの西の丸公園の眺め。

西の丸公園を出て、豊国神社に。鳥居前の紅葉が見事

豊国神社から梅林に向かう途中の紅葉のトンネル

梅林前の内堀の石垣に自生する雑木も紅葉。黄金色の御座船のUターンする様子。

大阪城公園は梅林、桃園、桜の春もだが、秋の紅葉シーズンも美しい。

IANAS2019

第4回のInternational Anammox Symposium(IAMAS2019)が大阪で開催された。会場は、関西空港近くの大阪府泉南郡熊取町の京都大学複合原子力科学研究所。11月13日、14日がシンポジウム、15日が施設見学会であった。日本から82人、中国から33人、韓国から10人、ベトナムから5人、タイから1人、合計131人の参加となった。

第1回のIANAS2011は2011年に熊本大学で、第2回のIANAS2013は2013年に韓国ソウル、第3回のIANAS2015は2015年に中国・大連理工大学で開催された。IANASは2年ごとに、日本、韓国、中国の三か国の持ち回りで開催されてきて、第4回は崇城大学の藤井隆夫教授がChairpersonとなって2017年に熊本市で開催する予定であったが、熊本地震の影響で中止となった。
今回、IANASを早く日本で開催して欲しいとの声を受け、アナモックスの研究に精力的に取り組んでいる京都大学複合原子力科学研究所の藤川陽子先生と、私がChairpersonとして第4回のIANAS2019を大阪で開催する運びとなった。東南アジアでアナモックスの研究に精力的に取り組んでいる先生方を組織員会の委員に、関西在住のアナモックスの研究を行っている先生方を実行委員会委員として、1年かけてこのシンポジウムを準備した。
IANASはアナッモクスに特化した世界で唯一のシンポジウムで、今回は、部分亜硝酸化反応、アナッモクス反応、二槽式アナッモクス法、一槽式アナッモクス法、メインストリームへの適用、アナッモクスが関係する生態学の6つのセッションで、京都大学複合原子力科学研究所の大会議室で54件の口頭発表が行われ、併せて19件のポスター発表も行われた。
会場を2つに分けると、十分な発表時間を確保できるものの、全ての発表を聞くことができないことから、当初から一つの会議室で行うことを基本方針とした。今回予想を上回る多くの口頭発表の申し込みがあり、発表時間を15分と短く設定しても、一会場でさばける口頭発表件数は54件が限界で、19件はやむなくポスター発表に回っていただいた。
初日は、複合原子力科学研究所への入構、シンポジウムの受付等で時間が取られ、少し遅めの9時半からのスタートとなった。

IANAS2019の発表会場となった京都大学複合原子力科学研究所会議室

京都大学の藤川先生の開会の辞の後、9時45分から、「部分亜硝酸化」に関する3件口頭発表が始まった。

開会式の司会を担当した京都大学・西村文武先生

開会の挨拶をする京都大学・藤川陽子先生

次いで、11時から昼食を挟んで「アナッモクス反応」に関する13件の口頭発表があった。15時45分からは「二槽式アナッモクス法」に関する6件の研究発表があった。

最初の座長を担当した、中国・山東大学Shou-Qing Ni教授

中国・華南理工大学Xiaojun Wang教授による口頭発表

中国・北京工業大学Zhang Li教授による口頭発表

座長を務める中国・大連理工大学Qiao Sen教授

タイ・カセサート大学Pongsak Noophan副教授による口頭発表

座長を務める東洋大学・井坂和一准教授

京都大学・西村文武准教授による口頭発表

立命館大学・惣田聡教授による口頭発表

大阪府環境農林水産総合研究所・相子伸之主任研究員による口頭発表

㈱タクマの高木啓太氏による口頭発表

熊本市上下道局・四浦良祐氏による口頭発表

座長を務める北里大学・清和成教授

その後、近くの関西空港への連絡橋のたもとに位置する、Star-Gate Hotelに移動して、19:00から懇親会を開催した。
シンポジウムへの出席者のほとんどが懇親会に参加した。司会は、㈱タクマの芹沢佳代さんが担当。藤川陽子先生の開会の挨拶のあと、日本、中国、韓国、ベトナムからの参加者を代表して、大阪大学の池道彦教授、中国・大連理工大学のQuan Xie教授、韓国・釜山国立大学のLee Taeho教授、ベトナム・ホーチミン市工科大学のDan Nguyen Phuoc副教授から祝辞があった。

藤川先生による開会の挨拶

大阪大学・池道彦教授からの祝辞

中国・大連理工大学Xie Quan教授からの祝辞

韓国・釜山国立大学Lee Taeho教授からの祝辞

ベトナム・ホーチミン市工科大学Dan Nguyen Phuoc副教授からの祝辞

乾杯の音頭は、日本・東北大学の李玉友教授にとって頂き、祝宴が始まった。

日本・東北大学・李玉友教授による乾杯前の挨拶

参加者全員がアナッモクスの研究に従事し、しかも学会等で顔なじみが多く、和やかな雰囲気で宴が進んだ。

懇親会の様子

宴の途中で、5人にショートスピーチを頂いた。最初に北海道大学岡部聡教授、次いで遠路米国から参加頂いた米国・農務省農業研究所(USDA・ARS)のMatius Vanotti博士、中国・大連理工大学のQioa Sen教授、韓国・ジョンテク社のYoo Joong Jeon社長、日本・下水道事業団の細川顕仁理事の順であった。

北海道大学・岡部聡教授のショートスピーチ

米国・農務省農業研究所Matius Vanotti博士のショートスピーチ

中国・大連理工大学Qioa Sen教授のショートスピーチ

韓国・ジョンテク社Yoo Joong Jeon社長のショートスピーチ

日本・下水道事業団・細川顕仁理事のショートスピーチ

最後にIANAS2019のChairpersonの古川から閉会の辞があり、三本締めで懇親会が終了した。

古川による閉会の挨拶

シンポジウム2日目の14日は、9時から「一槽式アナモックス法」のセッションがスタート。今回の発表の中では「一槽式アナモックス法」に関する研究発表が12件と一番多く、今後のアナモックスの適用においては、「一槽式アナモックス法」が主流になることを示唆している。

昼食前のKeynote Speechとして、USDA・ARSのMatius Vanotti博士から、宇宙船での排水リユースにアナモックス反応を適用するチャレンジングな研究成果が報告された。

米国・農務省農業研究所Matius Vanotti博士によるKeynote Speech

昼食を挟んで、14:00まで19件のポスター発表が行われ、ポスターを前に活発な議論が繰り広げられた。

ポスター発表の様子

ポスター発表の後、「一槽式アナモックス法」に関する残りの4件発表が行われた。

和歌山県工業技術センター・山際秀誠主任研究員の口頭発表

和歌山県工業技術センター・赤木知裕主査研究員の口頭発表

韓国・釜山国立大学Lee Taeho教授の口頭発表

ベトナム・VAST-IET・Phan Do Hung博士の口頭発表

明電舎・M.Q. Lai氏による口頭発表

座長を務める崇城大学・平大輔准教授

15時からは3件の「メインストリームへの適用」に関する発表があり、最後に「アナッモクスが関係する生態学」に関する7件の発表が行われ、全ての口頭発表が終了した。
終了後に、優秀口頭発表者、優秀ポスター発表者の発表があり、藤川先生から表彰状の授与が行われた。

表彰式の司会を務めた、大阪大学・井上大介准教授

藤川先生から優秀口頭発表賞に選ばれた農業・食品産業技術総合研究機構の和木美代子上級研究員への賞状の授与

優秀発表賞の表彰(1)

優秀口頭発表者の表彰(2)
2日間にわたるシンポジウムの終了に際し、Chairpersonの古川から閉会の辞があり、次回2021年の釜山で開催予定のIANAS2021での再会を期してシンポジウムは閉会した。

古川による閉会の辞

15日は施設見学会で、61人の参加があった。JR天王寺駅に9時30分に集合し、貸し切りバスとレンタカーを利用して、公共下水処理場に日本で最初に導入された大阪市平野下水処理場の嫌気性消化脱離液からNH4-Nを除去する二槽式アナモックスプラント(設計処理量:1,350m3/d)を見学した。

アナモックス処理施設の全景、3班に分かれて見学した。

処理施設のフロー図

処理施設の上部で処理施設の説明を受ける

見学後、昼食を取った後、バスで人工島舞洲に渡り、大阪市の舞洲スラッジセンターを見学した。

舞洲スラッジセンターの入口。建物はフンデルト・バッサーのデザイン。

大阪市の係員から汚泥溶融施設の説明を受ける。

舞洲スラッジセンター見学後、バスで天王寺駅に戻り、16時30分に解散した。

多くの参加者から、良く準備された、実のあるシンポジウムであったとのお褒めの言葉を頂いたことは、シンポジウムをお世話した実行委員会メンバー全員の喜びとするところである。

写真撮影:住友化学㈱・朝子弘之氏

大阪城トライアスロン

第3回大阪城トライアスロンが9月22日(日)に開催された。ウオーキングを兼ねて応援に出かけた。
この大阪城トライアスロンは2017年に始まり、今年が3回目となる。大阪城には城の周りに東西南北の外堀があるが、大阪城トライアスロンに使用されるのは、東外堀。この東外堀の水源は、大阪市城東区にある中浜下水処理場の高度処理水。下水中の窒素、リン濃度を低減した後、砂ろ過した高度処理水である。高度処理水とはいえ、富栄養化を防止する濃度レベルの水質ではないので、堀の水の色は緑色で水草が繁茂し、ここがトライアスロンのスイムの会場になるとは?大会組織委員会では、大会の前に東外堀の水質検査をして、国際トライアスロン連合の定める基準値をクリアーしていることを確認し、大会を実施しているとのこと。
第1回の大会では、MBSの山中真アナウンサーがこの大会に挑戦し、“ちちんぷいぷい”で取り上げられ大きな話題となった。山中アナウンサーのブログでは、
「前日の雨のせいもあったのか水中はかなり濁ってて視界は20cmくらい、まるで味噌汁の中かというくらい茶色かったし。匂いはくさいというほどではなかったけど自然と歴史の詰まった匂いがそれなりにしまして。まぁ泳ぎ始めたら全然気にならないレベルでしたけどね。」
主催者は、東外堀にマイクロバブル発生装置を設置して水質改善を試みている。
2021年には、中浜下水処理場で膜分離活性汚泥法による超高度処理が始まる予定。この超高度処理水が東外堀にも供給されることで、東外堀の水質改善が進み、より快適なスイム環境が整うことを期待したい。

午後1時半にスプリントのスイムスタート台に並ぶ選手

スプリントでは飛び込むのではなく水に入った状態からスタート

スプリントのスイムは750m

折り返し点の黄色いブイ

スイムの2位、3位の外国人選手

バイクへの乗り換え(トランジット)

18.7kmのバイクコース(最初は大阪城公園内の道路を使うが、大半は外周道路を使う)

 

最後の5㎞の大阪城公園内のランコース

トライアスロンを見るのは初めてだが、予想した以上に参加者が多く、その参加者を応援する家族、友人で大阪城公園は人であふれていた。

忍野八海

7月21日から24日、山梨県甲州市の「勝沼ぶどうの丘」で開催された第12回日中韓のジョイントワークショップ(The Joint Workshop Advanced Engineering Technology for Environment and Energy)に参加した。これまで日中韓の拠点大学(大阪大学、大連理工大学、釜山国立大学)が交替で開催してきたが、今回は山梨大学がホスト大学となり大阪以外の場所での開催となった。日中韓三カ国から教官、大学院学生を含め40人の参加があった。
「勝沼ぶどうの丘」には、宿泊施設、会議場、レストラン、温泉施設が備わっていて、ワークショップに最適な施設。甲府盆地を見渡す小高い丘の上に建ち、周りはぶどう畑に囲まれている。特にレストラン、温泉施設からの夜景は素晴らしく、新日本三大夜景に選ばれている、山梨県笛吹川フルーツ公園からの夜景にも匹敵し「勝沼ぶどうの丘」の最大セールスポイント。

勝沼ぶどうの郷駅から「勝沼ぶどうの丘」を望む

ワークショップが開かれたイベントホール

「勝沼ぶどうの丘」には地元ワインが展示販売されている

「勝沼ぶどうの丘」から甲府市を望む素晴らしい眺め

「勝沼ぶどうの丘」から望むぶどう畑

収穫をむかえるぶどう棚

山梨大学・森教授のワークショップ開会の挨拶

ワークショップ参加者全員で記念撮影

22日がワークショップで、23日はエクスカーション。勝沼ぶどうの丘を8時半にバスで出発し河口湖経由で富士スバルラインを使って富士山5合目を目指す。当日は梅雨明け前のぐずついた天気で、河口湖から富士山は望めず。5合目からの富士山が見えることを期待したがそれも叶わなかった。5合目には曇りにも関わらず多くの観光客。その多くが中国人であった。

富士山5合目のレストラン

5合目から富士山への登山口

河口湖湖畔の公園

昼食は、立派な門構えのほうとうの店

野菜(ハクサイ、カボチャ等)が沢山入った大ボリュームのほうとう

その後、河口湖から山中湖方面に向かい、「忍野八海(おしのはっかい)」に到着。「忍野八湖」は、富士山の伏流水に水源を発する湧水池で、富士講の信者が富士登拝に先立ち、8つの湖沼群において水行を行ったとされる富士修験の霊場であった。「忍野八海」は1934年に国の天然記念物に指定され、1985年には環境庁から「名水百選」に選定されている。加えて、2013年には、「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一部として世界文化遺産に登録されている。
バスを降りて「忍野八海」に続く道には、観光客相手に多くの店が並び、火曜日というのにすごい人出の中国人観光客。最初に「湧池」、そこを少し進むと、左手に大きな池が見え、多くの観光客で賑わっていた。この池は「中池」と呼ばれ、人工的に造られたもので、忍野八海の「八つの池」には含まれていない。この中池に行くには、土産屋を通って行かなければならないということは、土産屋が観光用に整備したものと思われる。池の中央に深さ10mのコバルトブルー色の中池いは多くの魚が泳ぎ、吸い込まれるような透明度の高い池で、観光客が覗き込んでいる。

平日でもこの賑わい

お土産屋を通り抜け中池に(左回りで池を回る)

中池をのぞき込む(透明度10m)

中池には魚が飼育されている

その後、菖蒲池、濁池、御釜池を巡った。

神秘的な「御釜池」

「名水百選」に選定された湧水としては、私が住んでいた熊本県の「白川水源」も有名であるが、観光客の数は「忍野八海」の方が圧倒的。以前、テレビ番組で、外国人に人気のコースは「東京―富士山・箱根―京都・大阪」で、ゴールデンルートと呼ばれていることを知った。平日での富士山5合目、忍野八海の中国人観光客の賑わいを見て納得したが、このインバウンド人気が続くと、ゆっくり名所鑑賞が出来なくなる危惧が残る。

支笏湖に遊ぶ

顧問をしている会社の社員旅行で、7月12日から2泊3日の北海道旅行に出かけた。
札幌市内とルスツリゾートに2泊。ルスツから千歳空港に戻る途中、サクランボ狩りと支笏湖観光。ルスツを出たバスは巨大なカルデラ湖である洞爺湖を左に眺めながら湖岸道路を走る。

国道わきの畑に咲くジャガイモの白い花

中央左の山の頂上に立つのがザ・ウインザーホテル洞爺

有珠山、昭和新山を通り過ぎ、壮瞥町内でサクランボ狩りに。サクランボは今が旬で、連休ということもあり、多くの観光客で賑わっていた。サクランボ農園の駐車場からは、赤い地肌の昭和新山を近くに望めることができる。

国道から望む昭和新山

サクランボ農園の駐車場から昭和新山(左)と有珠山を望む

昭和新山は昭和18年の有珠山の噴火活動で人里近くの麦畑が隆起してできた標高398mの溶岩ドームの山で、国の「天然記念物」に指定されている。昭和新山の噴火では大きな被害が出た。今でも泥流で埋まった町営住宅がそのまま残っていて、車窓から見ることができる。昭和新山は有珠山とともに、周辺地域が「洞爺湖有珠山ジオパーク」としてユネスコ世界ジオパークに認定されている。有珠山は数十年間隔で噴火を繰り返していて、バスガイドによると次の噴火が心配されているとのこと。

サクランボ狩りの後、支笏湖に向かう途中にある、「三階滝」に立ち寄った。この滝、三段の層をなして清流が流れ落ちることから「三階滝」と名付けられた。

三階滝

滝の近くの小さな洞窟の前に、「甘露法水」と名付けられた湧水がある。飲んでみると少し甘みも感じる美味しい水であった。この湧水は、長寿延命や安産、子孫繁栄などに御利益があるとのことで、伊達市の隠れた名水スポットになっている。

甘露法水を飲むために並ぶ

バスが駐車した場所周辺は公園として整備されていて、タンポポモドキが満開だった。

三階滝公園で満開のタンポポモドキ

この後、バスで20分ほど走り、支笏湖に到着。支笏湖は、北海道千歳市にある、周囲が40.4㎞、最大水深360m、平均水深265m、透明度17.5mの日本有数のカルデラ湖。支笏湖は水深が深く、全面凍結する前に冬が終わるので、日本最北の不凍湖になっている。支笏湖の深度は、秋田県の田沢湖に次いで国内2番目。透明度の方は日本で3番目。ちなみに一番は摩周湖で透明度28m。お土産屋が並ぶ坂道を100mほど下り、遊覧船の出る桟橋から水中遊覧船に乗り込んだ。遊覧船は船底の側面がガラス張りになっていて、透明度の高い支笏湖の底部を観察できる。(ハンドワイパーで頻繁にガラスの曇りを取らなければならない)まずは、多くの魚が出迎えてくれる。まるで水族館に来たよう。

出迎えてくれたエゾウグイ

 

アメマスやヒメマスも観察できるそうだが、エゾウグイのみであった。桟橋を離れると桟橋周辺の湖底の波紋が良く見える。

桟橋近くで観察できる波紋

船が湖畔を少し離れると、湖底の急激な落ち込みで水の色がコバルトブルーに変わる。残念ながら当日は雨で視界は悪く、遊覧船から景色を楽しむことはできなかった。

桟橋を後に次の観光スポットに向かう

すれ違ったもう一隻の水中遊覧船

約10分弱で、水中遊覧船の最大の見どころに柱状節理(ちゅうじょうせつり)を観察できるポイントに到着。柱状節理はカルデラができる時に、マグマが急激に冷やされ収縮した際に形成される割れ目のこと。まるで、切り出した石が散乱しているような地形となっている。この柱状節理の周辺にも桟橋で見たものよりも少し大きな魚が悠々と泳いでいるのを見ることができた。

湖底に広がる柱状節理

この後、遊覧船は桟橋に戻る。

 

支笏湖の名所となっている北海道最古の鉄橋「山線鉄橋」

桟橋にはペダルボートが

約30分の遊覧。天気が良ければもっと素晴らしい景色を楽しむことができはず。

粘土板マルチング法による緑化活動

鹿児島大学名誉教授で中国・東北大学の名誉教授でもある野崎勉先生が、日中の社会人と学生と一緒に、2005年から年に2,3回内モンゴル自治区通了市郊外科左翼后旗に広がる“ホルチン砂漠”の一角でモンゴル松による緑化活動を続けている。

6月21日、私も参加し野狼谷で狼を見学した後、通了市内のホテルに宿泊し、翌22日に“ホルチン砂漠”に向かった。バスで2時間半かけて“ホルチン砂漠”に到着。“ホルチン砂漠”にはモンゴル松を使った緑化現場以外に、昨年から野崎先生が独自に開発した“粘土板マルチング法”を適用した現場があり、まずそこ向かう。

砂漠の緑化法としてはストーンマルチング法が良く知られている。この方法だと石が現場に残るため、緑化された後の土地利用に問題がある。野崎先生が緑化に使用する粘土板は、縦80cm、横40cm、厚さ10cmの形状。原料として土、硬化剤として牛糞、補強材としてわらを使い、水を加えて混練し、天日で乾燥して作成する。現在粘土板の作成は、現地の農民の方にお金を出して依頼している。
この粘土板を8枚を1ユニットとして砂上に一定間隔で並べる。設置後、草の種を蒔いておくと、数か月で粘土板の隙間に植物が生えてくる。

1ユニット8枚の粘土板を敷き詰める

設置後数か月後の状況

私がこの粘土板マルチングによる緑化現場に入るのは、3回目。この4月までに野崎先生の手で、広さ1haの半砂漠地域に35,000枚の粘土板が設置されていた。

広がる緑化現場

1年後には牧草が膝の高さまで成長する

“粘土板マルチング法”では、1年後には粘土板は土に戻るので、緑化後の土地利用に問題はない。粘土板には保水性があるうえ、牛糞が練りこんであるので肥料として効果があり、適度な降雨さえあれば半砂漠地域の緑化が一気に進む。現在、粘土板の作成に土を使っているが、野崎先生は土の代わりに、生活排水の処理に伴って発生する脱水汚泥の使用を考えている。日本では下水汚泥は、嫌気性消化された後、焼却処理されている。焼却するのではなく、脱水汚泥を高温たい肥発酵させたものを土の代わりに使用すれば、物質循環に乗った理想的な砂漠緑化が可能となるので、期待したい。
この現場で、参加者が粘土板マルチング板による緑化現場の周辺にモンゴル松を植林した。

モンゴル松の植林

参加者全員で記念写真

この後、近くのモンゴル松による植林がほぼ終えた現場を視察した。ここでは5-8年前に植林したモンゴル松が人の背丈を超える高さまで成長し、以前半砂漠地帯であったとはとても思えない。地下には地下水が走っていて、すこしくぼ地の高度低い現場はモンゴル松の成長が良いが、小高い丘の上に植えたモンゴル松は水分不足で成長が遅れている。

人の背丈以上に成長したモンゴル松

半砂漠であったとは想像できない植林現場

小高い丘ではモンゴル松の生育が悪い。高い木は植林したポプラ。

植林現場に咲く可憐な花

この近くは、モンゴル松やポプラによる緑化が進み、樹間には草原が戻り、放牧が始まっている。

放牧状況

折角の緑化現場が、過放牧でもとの半砂漠に戻ることだけは避けて欲しいと願うばかりである。

中国・内モンゴル自治区へのオオカミツアー

2019年6月20日―22日に鹿児島大学名誉教授の野崎勉先生が企画した、内モンゴル自治区通了市カンジカでの植林とウズムチン野狼谷でのオオカミ飼育施設を見学するツアーに参加した。野崎先生は昨年日本オオカミ協会南九州支部を立ち上げ、支部長に就任している。今回は支部のメンバーが中心となったツアーで、18人が参加。(女性が9人、80歳代が2人、70歳代が11人)これに中国・東北大学の機械自動化学院の教官3名、大学院学生7名加わり、合計28人のツアーとなった。

20日の午前8時に瀋陽市駅前のホテルをバスで出発。高速道路を3時間かけて、通了市カンジカに到着。傳王大酒店(ボーワンホテル)にチェックイン。昼食後、砂漠の中の大自然原生林・大青溝(4A級の国家級旅遊景区)を見学にバス移動。大青溝までの高速道路沿いは緑化が進み、今年は雨も多かったこともあり、とても砂漠化が深刻な地域とは思われない。砂漠の中のオアシス大青溝には、これまで何度となく訪れている、5A級の国家級旅遊景区への格上げを目指し、道路や公園内の施設整備が進んでいる。今後の益々観光客に人気が出ることを期待される。

砂漠の中に出現する巨大なオアシス・大青溝

大青溝内の木漏れ日の回廊

大青溝の底部に出現する清流脇に整備されたウッドデッキ

ウッドデッキで記念撮影((前列中央が野崎先生)

5A級の国家級旅遊景区への格上げを目指し、道路工事が進む

21日、ウズムチン野狼谷の飼育施設の向けて出発。カンジカから約600㎞をバスで走る。バスは若い運転手がオートドライブモードで100km/hを守り、1-2時間おきにトイレ休憩を挟みながら進むので時間がかかる。途中、通遼市の管轄で通遼市から北西約350kmに位置する炭鉱の街「霍林郭勒市(ホーリンゴル市)」で昼食。霍林郭勒市は炭鉱の街として1893年に建設され、人口は現在約11万人の活気にあふれている。

露天掘りの炭鉱

石炭を運ぶ貨物列車と遭遇

石炭火力発電所

発電の温排水を利用した温水プール

昼食後、バスで広大な草原の中の一本道を進む。草原の丘の上には風車が林立し、送電線が草原の風景を害している。

高速道路わきに広がる大草原と遊牧民のゲル

大草原の丘に建つ風車群

15:00にやっと野狼谷に到着。

野狼谷の全景

入園して、マイクロバス2台に乗り換え、広大な草原内に設けられた広さ約1haの放し飼いゲージで飼育されているオオカミを見学。

ゲージの向こうにオオカミが放し飼いになっている

前を走る運転手が、ゲージ内に入る前に生きた鶏を捕まえ、それを片手に窓からぶら下げて走ると、早速数十匹のオオカミの大群がマイクロバスを追いかけてくる。本当に鶏をオオカミの中に放り投げるのかと思いきや、今回はオオカミに見せびらかすだけで持ち帰った。我々の前の観光客のグループの時は、投げ入れたみたいで、オオカミに食べられた鶏の羽が散乱していた。

鶏に釣られてオオカミが集まる

一斉に運転手の持つ鶏にくぎ付け

なかなか鶏を投げ入れてくれないので半分あきらめ顔のオオカミ

ここで飼育されているのはユーラシアから北米の森林や草原、半砂漠地帯などに広く分布するハイイロオオカミ。分布する地域や餌の状況で大きさに差があるが、平均20-25㎏とシェパードを少し小さくしたサイズ。広いケージの中で餌付けされていることもあり、飼育人には慣れている。一般の観光客は柵を出るまでマイクロバスの外に出ることはできない。

飼育員と戯れるオオカミ

オオカミの巣穴

野崎先生が4月に下見でここを訪れた時は、1パック10匹ほどのオオカミゲージの中で飼育されていっていたとのこと。2-3か月でこれほど増えたとは思われず、意図的に夏の観光シーズンに向けて多くのオオカミを放したと思われる。この狼谷には、放し飼いのオオカミ以外に、展示用に大型の黒狼が飼育されていた。

大型の黒色オオカミ

狼谷は周辺の広大な草原観光と相まって、観光施設として人気が出ているようで、敷地内には、乗馬施設、展示館、宿泊用のゲル等が整備されていた。

準備中のオオカミのモニュメントと展示館

宿泊用のゲル

オオカミは、分布域が広く、個体数も多いことから絶滅の恐れはないとされている。日本のようにオオカミが人の手で意図的に絶滅された地域では、食物連鎖の頂点に立つオオカミがいなくなったことからシカやイノシシが増加し、林業や農業に大きな被害が出て大きな社会問題になっている。現状はハンターによる個体数コントロール(狩猟圧)に依存しているが、ハンターの数が減少していて効果は限られる。長期的な対策として、アメリカ・イエローストーンやアイダホ州では、オオカミの再導入に成功していることから、オオカミの導入による森林生態系における食物連鎖の復活が提案されている。
野狼谷を見学して、通了市に帰る途中に、草原の頂きに立つ巨大なチンギス・カンの石像を見学した。ここも多くの観光客で賑わっていた。

チンギス・カン(後)とフビライ(前)の石像

草原で記念撮影する観光客

ここから、ホーリンゴル市を経由して200㎞離れた通了市に。通了市内のレストランで夕食を済ませ、碧桂園大酒店にチェックインしたのが夜の11時。この日の走行距離は、900㎞を超え、それはそれは疲れた、長い、長い一日でした。