ハノイの交通インフラ整備に関する最新事情

ハノイを1年ぶりに訪問しました。
以下が、今回のハノイ訪問で見てきた交通インフラ整備に関する最新事情です。

ハノイでは交通インフラの整備が急ピッチで進んでいます。
ハノイ都市圏の交通渋滞緩和、ハノイ市からノイバイ空港、ハイフォン港及び工業団地等へのアクセス向上を図るため、ベトナム政府は環状道路(1~3号線)を整備中です。ノイバイ空港では2015年の供用開始を目指し、新しい国際空港第二旅客ターミナルビル建設事業の建設が日本の円借款で進んでいます。空港から市内までの高速道路も立体交差の工事や、横断道路の交通規制などが進み、随分と走り易くなりました。紅河を渡ると以前は交通渋滞で市内の中心部のホテルまで行くのに時間がかかりましたが、環状の高架橋道路が完成し便利になりました。
この高架橋道路から、高さ350メートル・72階建てのオフィスタワー「ランドマーク72」(延床面積は約61万m2で、ビル1棟での延床面積の大きさでは世界でも有数)が目の前に飛び込んできました。(写真1)

写真1  運転席からランドマーク21を望む
72階建てのランドマーク72は、延床面積は約61万平方メートル、ビル1棟での延床面積の大きさでは世界有数だそうです。ビルの62階から71階にはインターコンチネンタルホテルが入っています。このビルの開発・建設・運営にあたっているのは、韓国の建設会社・京南企業とのことですが、既に韓国では住宅バブルで多くの建設会社が倒産の危機にあることを考えると、デウーホテルと同じような道をたどるのではないかと懸念しています。私としては、いくらハノイでのオフィッス、ホテル、住宅事情が悪いからといって、このようなコストをかけた高層ビルが必要なのか疑問です。。
今回旧市街の古いホテルに宿泊しましたが、ホテルの部屋から建設中の建設中の大規模ビルが望めました。以前の建設現場では、竹の足場が使われ、高さも精々10階建てのビルであることを思うと隔世の感があります。(写真2)

写真2 ハノイ中心地に建設中の高層ビル群
ここ数年、ハノイでは車の数が急速に増えています。これまで、車と単車が同じレーンを走っていたため、交通渋滞だけではなく、車と単車との交通事故の原因となっていました。これらの問題を解決する意味もあり、昨今主要道路では、単車と車のレーンが分けられるようになってきました。(写真 3)

写真3 車と単車の分離帯ブロック

ちなみに、ハノイ市内でのガソリンの値段は一リットル1.2ドルで、日本よりは安いですが、給料や物価を考えると非常に高い値段です。車も日本での値段とあまり変わらず、駐車場代を考えると、給料の半分が車に消えるそうです。このような状態で、車を持つ市民の数がどんどん増えていることも私には不思議でたまりません。
今回、地下水の浄化のプロジェクトでは高速道路を使ってハノイから40km離れたハナム省に出かけました。この高速道路、以前は有料道路だったのですが、何故か料金所が閉鎖され、無料でした。車の運転をしたカンターパートの先生の話では、その分、車の税金が高くなっているとの説明でした。(写真 4)

写真4  ハナム省でのインターチェンジ

市内を車で走っている時に、モノレールの建設現場に出くわしました。
ハノイ市の交通インフラ整備計画では、フランス、中国、日本等、いくつかの国のODAを利用してモノレールを整備を進めています。試験的に第一路線を整備して2016年より運行を開始し、その次に第2路線も実行に移す計画とのこと。出くわしたのはこの第一路線で、中国のODAを使っているとのことでした。問題はこの路線がハノイの中心地に繋がっていないことで、終点から市の中心部のどのように公共交通機関を整備するかが大きな課題として残されているそうです。(写真 5、6)

写真 5 建設中のモノレール

写真 6 モノレールと高架橋道路との立体交差の現場

以上、ハノイ市の交通インフラ整備の最新事情を紹介しました。将来の経済発展を見越しての交通インフラ整備ですが、しっかりとしたマスタープランに基づいた地に足の着いた整備となることを祈っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です