1月22日に新潟県南魚沼市長森にある八海酒造株式会社の雪室貯蔵庫見学ツアーに参加した。新大阪駅から新幹線で東京駅に出て、東京駅で上越新幹線に乗り換え、浦佐駅で下車。
車窓から富士山
トンネルを抜けると湯沢の雪景色
浦佐駅から八海酒造株式会社の出迎えのマイクロバスに乗り換え、約10分で「越後三山の一つの八海山(日本200名山に選ばれている)の麓、南魚沼市長森に位置する「魚沼の里」に。
正面が八海山。左側には八海山スキー場
ここは、もともと市が運動公園を整備する予定地であったが、計画がとん挫し、八海酒造が市の依頼を受けて、魚沼の暮らしや文化を通じて“郷愁とやすらぎ”を感じる場所「魚沼の里」として整備したもの。広大な敷地に「酒蔵」の他「八海山雪中貯蔵庫」、「そば屋長森」、菓子処「さとや」、「つつみや八蔵」などの洒落た施設が点在している。
最初に「雪中貯蔵庫」を元甲子園球児の社員の案内で見学。
雪室のエントランス
雪室の看板
新設された断熱性の高い建物の中に1,000トンもの雪を蓄え、年間を通じて庫内を4℃前後の低温、多湿な状態に維持する雪室で、庫内の空気は循環され、庫内全体を低温に維持する構造となっている。八海酒造はこの雪中貯蔵庫に日本酒を3年間低温熟成して、まろやかな日本酒に仕上げている。雪室で貯蔵した日本酒は「八海山 雪室貯蔵三年」として真っ白い4合瓶で雪中貯蔵庫のショップで販売されていた。この雪室の空いたスペースを使って、八海酒造の製造する米焼酎が樽に入れられ熟成貯蔵されている他、野菜などの貯蔵が行われている。雪は3月に全て入れ替えるそうで、見学時は入れ替え前ということもあり、雪の表面に汚れが浮き出ていた。
雪室に10カ月貯蔵された雪。汚れが目立つ
左側に日本酒の貯蔵タンクが見える
雪室に貯蔵され熟成されている焼酎
雪を使った貯蔵方式としては、食品を直接雪の中に埋めて冷やす「かまくら型」と、保管庫内に雪を貯蔵することで庫内を冷蔵する「氷室型」があるが、八海山の雪室は氷室型。この雪室が近年、クリーンエネルギーである雪を使った環境にやさしいシステムとして再び注目を集めている。低温、多湿な雪室で野菜を貯蔵すると野菜の澱粉が糖に変換されて甘みが増し、肉を貯蔵するとタンパク質がアミノ酸に分解されて旨みが増す。日本酒や焼酎などのアルコール類を雪室で長期熟成させると味わいが増すことが知られている。
雪を使った貯蔵方式を説明する看板
雪室の見学を終えると八海酒造の製造する日本酒、焼酎、甘酒の試飲ができる
その後、「魚沼の里」に2004年に建設された「第二浩和蔵」を製造部長・杜氏の案内で見学した。最新鋭の機器を導入し、優れた環境条件で若い社員の手で手際よく日本酒造りが行われていた。
酒蔵の入口
精米度合いを示す(一番上が精米歩合25%)
麹室(白いカバーの下で麹菌が増殖している)
脱水機で酒を絞る
「八海山」は日本酒作りに重要な仕込み水、酒米、熟成に適した環境条件に加えて、伝統の優れた酒造りで、淡麗の食中酒として人気を集めている。特に、「大吟醸酒製造技術を全酒類への応用にすること」に取り組む姿勢は高い評価を受けている。「いい酒をプレミアムの付かない適正な価格で簡単に手に入れるようにしたい」との方針で営業展開している「八海山」を試されては如何でしょうか。